日本馬がBreeders Cup制覇!~あの血が世界最高峰の舞台で大仕事~

グリーンチャンネルなどでご覧になっていた方も多いことでしょう!日本から参戦したラヴズオンリーユー、マルシュロレーヌの2頭がBreeders Cupを制覇しました!

 

Breeders Cupは2日間開催されるほどレース数が非常に多いので、念のために書いておくと、ラヴズオンリーユーが出走したのがフィリー&メアターフ、マルシュロレーヌが出走したのがディスタフです。

 

この2頭の血統について書こうかと思っていましたが、ラヴズオンリーユーの血統など今さら誰も説明を求めていない感じがしますので、今回はマルシュロレーヌについて書いていきます。

 

マルシュロレーヌはオルフェーヴル×フレンチデピュティという、オルフェーヴル産駒の定番ダート配合。本馬のほかにヘリオス、アルドーレがオープンで活躍しており、他の同配合馬もJRAでの勝利はすべてダートのレースです。

 

個人的には配合よりも、本馬の牝系に注目していただきたいんです。マルシュロレーヌは牝系を遡ると9代母シユリリーという1925年生まれの輸入馬へと辿り着きます。このことが何を意味しているかというと、この牝系はシユリリーが輸入されてからずっと日本に残り、種付けという名の品種改良が重ねられてマルシュロレーヌが誕生したということです。イマイチ凄さが分からないという方は、TargetやJBISのサイトでマルシュロレーヌの血統表を開いて、血統表の一番下の段をヴィートマルシェキョウエイマーチ→インターシャルマン...と辿っていってみてください。9代母のシユリリーに到達するまでカタカナ表記の馬名しか登場しないことに気付くはずです。ちなみに、カタカナ表記の馬は日本で繁殖の用途で血統登録されている馬で、アスタリスクがついている馬は日本に輸入されて日本で前述の用途で血統登録された馬という意味です。

次に、あなたの知っている馬で同じ作業をしてみてください。試しに、アーモンドアイでやってみましょう。

フサイチパンドラ→ロッタレース→Sex Appeal...はい、詰まりました。

次は今年の天皇賞・秋を勝利したエフフォーリアでやってみましょう。ケイティーズハート→ケイティーズファーストKaties...また詰まりました。このように近年日本で活躍している馬は、十数年以内に海外から輸入した繁殖牝馬の系統から誕生していることが多いので、マルシュロレーヌのように9代も遡れる馬は珍しいのです。

 

シユリリーを祖とする牝系からは、マルシュロレーヌの2代母キョウエイマーチリンデンリリーヤマカツリリー、そして誰もが知る名馬オグリキャップなどが出ていましたが、近年は大きなレースを勝つ馬がいませんでした。そこで誕生したのがマルシュロレーヌなのです。今回の勝利は、いうならば過疎化が進んでいる村の、廃校になりかけている学校の野球部に突如プロ注目選手が現れ、急激に強くなり、怒涛の快進撃を繰り広げて最終的には甲子園で優勝したような感じです。

 

そういえば私が長々と血統について書くのも久しぶりでしたね。要約すると「あのオグリキャップを生んだファミリーから、また1頭日本競馬史に残る名馬が誕生したよ」という話でした!